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漫画・小説・その他色々日常とともに(BL含)
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こちらはBLを扱った同人二次的ブログです。

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引き続き図書館SSです。時期的には危機の頃のお話です。下にたたんでおきます。

今年は良く雪が降ります。昨日は朝から夕方まで降っていた。今日はほどほどに日が射して溶けてるけど…さ っ む っ い っ

友人にG・DEFENDを貸し出してみました。36巻どーーーん
一日で一気読みした友人はすごい。そら目も頭も疲れますよ…しかし読んでる最中に「今何巻?」だの「誰好き?」だの非常にうぜー事聞いていた。集中させてやれ。すいません。
しかしこれでGD話出来る人が増えた。西脇石川に悶えてくれる人が増えた。

これから一週間忙しくなる予定……予定?ハイジ描きたいなーハイジ。






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「かわいいね」




くっきりと半円を描いて浮かび上がった虹に歓声があがる。


「おねえちゃん!いくねえちゃん!もっと!虹もっと見たい!」
「きえちゃったよう!おねえちゃん!はやくはやくー!」
「あ〜もう!待って!ほらみんな濡れちゃうから!」
きゃあきゃあとかしましい声が中庭に響き渡る。

独特の外観が目を惹く武蔵野第一図書館には、意図的に緑と水がふんだんに取り入れられている。その豊かな自然が生み出す環境は、人々の心に余裕をもたらす。その効果か、天気のいい日には図書館で借りた本を館内や家ではなく、建物外に併設されたベンチや日除けの屋根が施された四阿風の休憩スペースで読み耽る利用者も多く見られた。
良化隊を迎撃する際にはそれがまったく正反対の意味を持ってしまうのは何の因果か。それでもその多くは、図書館に足を運ぶ人達のために造られている。
そんな、本を愛する人達が安心して過ごせる場所を提供するための警備も図書隊の大切な任務だ。



その日郁は手塚とバディを組み、通常通り館内および外周辺の警ら中だった。その途中、いくつかの花壇が並ぶ場所に、何人かの子供がそれを覗き込むように群がっているのに気付いた。
「?なんだろ、どうしたのかな」
「さあ」
手塚への問いかけは特に答えを要したものではなく、その証拠に、郁は尋ねるとともにすでに手塚を置いて小走りに子供達のほうへ向かっている。
「みんなーどうしたのー?」
「あー郁ちゃんだ!」
「おねえちゃん、見てー!」
駆け寄ってくる郁に気付いた子供達は、見知った顔ばかりだ。親の姿は見当たらない。
「みんな、お母さんやお父さんは?」
先に確認すべく尋ねると、あっち〜と全員が同じ方向を指さす。どうやらこの強い日差しを避けるため、屋根のある四阿でお喋りに興じているらしい。こどもを放っておかれるのは図書館としては困りものだが、少し顔を覗かせれば見渡せる範囲ではあるし、そちらに目を向けると、同様に子供達の様子を伺おうと身を乗り出したらしい若い母親と目が合った事でしょうがないか、と今回は目をつぶるとする。次に同じような場面に遭遇したら一言注意しよう、と郁は頭にインプットした。
そうして、子供達が覗き込んでいた花壇に目を向ける。
「あらら、元気ないねえ」
見ると、色とりどりに並んだ小さな花達が一様に萎れてしまっていた。午前中は建物や木の陰に隠れていた花壇も、お昼を少しまわった今では容赦ない直射日光に晒されている。
ようやく明けた梅雨と入替えに、日に日に強くなる日差しにどうやら花も、世話をする人間も追いつけないでいるらしい。
「どうしよう、みんな枯れちゃう?」
どうやらそれを心配してどうすればいいのか集まって相談をしていたらしい。
郁は腕時計をチラリと見やる。まだ昼休憩の時間では無かったが、早すぎるというほどでもない。ほんの数秒考え込んだあと、すぐ近くで郁と子供達の様子を見守っていた手塚を振り返る。すると手塚は、ああ、わかってるとでも言うように右手を挙げてみせた。
「俺は先に食堂行ってる。一応堂上二正には言っておく」
「ん、ありがと。あんたもあたしの事わかるようになってきたじゃん」
気を利かせてくれた手塚に、からかうようにそう言ってみせる。手塚は一瞬嫌な顔をしてみせたが、それはタスクフォース入隊当初に見せたような険のあるものではない。
「別に複雑でもないからな、おまえの頭は。いたって簡単で解りやすい。夢中になって昼メシ食いっぱぐれるなよ」
「簡単言うな!」
お互い憎まれ口をたたきながら別れる。
「さーて!ホース持ってくるから待っててねー」
郁は子供達に向かってそう言うと上着を脱いでベンチへと勢い良く放り投げた。


郁の査問騒ぎのさなか、手塚慧から唐突に暴露された王子様イコール堂上という衝撃の事実認識作業は、ようやく郁の中で第一関門を突破した。ゴールなどは相変わらず見えないし、あるのかどうかも疑わしい、と郁は思っている。何しろ一応のゴールとしての形はと言えば、堂上への恋が実るかどうかだ。そんなの、考えただけでくらくらする。だって実るってどういう事?!そう、考えただけでくらくらするのだ。
その逆はどれだけでもシミュレーション出来るが恋が実る瞬間を想像しろと言われても自分には見当もつかない。
ただ、自分の中で何かが変わりつつあるのはわかる。
何がどう、と明確に言えないあたりが我ながら、て感じだけど。郁はそんなことを思いながら水流を霧状に設定したシャワーノズルを思いきり振りかざした。一瞬にして光の粒が散らばる。
一斉にあがるキャー!という子供達の甲高い声が気持ちいい。
今の時間花壇に放水するとちょうど太陽を背に向ける事になる。勢い良くばらまかれた水の粒の中にくっきりと綺麗な半円を描いた虹が浮かび上がった。
「にじー!にじだー!!」
「こら、だめだよ下に入っちゃ!濡れちゃうでしょー!」
虹をくぐろうとその下に集まる子供達に、慌てて郁はノズルを右に振る。すると子供達はそれに着いて行こうと一緒に右に駆け出す。ならばと今度は元の場所へ戻す。
それを遊びと判断してしまった子供達の興奮はどうやらピークに達してしまったらしい。
郁がどれだけ振り切ろうとも、必死にくらいついてくる。もう花壇も何もなくなってしまった。さながら犯人の腕に噛り付いた警察犬のようだね!と、状況には似つかわしくない感想を抱いてしまった。
と、ようやくその遊びに飽きたのか、子供達は忙しない動きを止めた。虹を観察することにしたらしい。高い位置に出来たそれを揃って口を開けて眺めている。郁は大きく腕を振る。強い日差しにキラキラ輝く水と虹。

ああ、すごいきれい。

これを見たらあの人は一体どんな顔をするだろう。

「堂上教官にも見せたいなあ」
「……そりゃどうも」
「え……?!」
背後から突然聞こえた、いるはずのない人物の声に驚き郁はがばっと振り向いた。
「ど、どう…!?」
「あ、馬鹿おまえ!!子供に向けるな!!」
何故ここに堂上が!?と眼を剥いた郁に、これまたぎょっと眼を剥いた堂上が飛び付く。
え?!なに?!なに?!と慌てふためく郁の右腕を引っつかみ、強引にシャワーノズルを上向かせる。
「あっ!す、すみません…!」
突然現れた堂上に狼狽えてノズルを持つ手が疎かになってしまった。すんでの所で子供達がびしょ濡れになるのを堂上が回避してくれてホッとする。と同時に、堂上の手が郁の右手に重ねられているのに気付き思わず身体を固くしてしまった。うわ!良く見ると顔も!顔も近い!腕を取られているため、ほぼ密着状態だ。
硬直した郁に気付いたのか、同じくホッとしていた堂上もその手を離し一歩横にずれた。郁がノズルについたコックを捻り水を止めると、少し離れたところから唐突に終了してしまった遊びに子供達が残念そうな声をあげる。
「…気をつけろ」
「は、はあ、すみません…堂上教官、どうしてここに?」
ぶっきらぼうな物言いをする堂上を横目で伺うように郁が尋ねる。ああ、もう、気まずい思いをしているのはきっと自分だけだ。すぐ顔に出る自分が恨めしい。
「警備の途中、子供達に捕まったって手塚に聞いたから、」
「?それでわざわざ…?一緒に遊びたかったですか?」
「…阿呆!!お前の事だから遊びに夢中になって昼メシ忘れるだろうからな!昼休憩あと30分もないぞ」
素直極まりない問い掛けに渋い顔をした堂上の言葉に郁は慌てる。そんなに時間が経っているとは気付かなかった。堂上から子供達へ向き直る。
「みんなー!もう終わりだよー!片付けるよー!」
「え〜〜!!やだあ、もっと!あっちのお花にもお水あげようよー!」
「だあめ!おねえちゃんお腹すいちゃったー!皆もお昼ごはんの時間じゃないのー?」
不満の声をあげる子供達に、そこはしっかりと終了を宣言する。あちこちと引っ張り回したため、うねうねと地面を這うホースを郁が手繰り寄せていると堂上がホースリールを持ってきてくれた。
「あ、すみません!」
「いいから早く………かさはら!」
「え?……きゃあ!ちょ、ちょっと、なに、だめよー!」
堂上に気を取られていたため、今度は背後が疎かになってしまった。完全に気を抜いていた郁の足下に遊び足りない子供達数人が突進してきたのが視界に入る。
「きゃー!だめだって!ホース!ホース危ない!」
子供3人がキャッキャと郁の足下で鬼ごっこよろしくぐるぐる回っている。そこにホースが絡まりそうになるから郁は必死で捌く。そしてそれを子供が面白がってホースを踏んづけようとする。もう容赦がない。
「わ!わ、わ!」
「笠原!」
いつのまにかホースが郁の両足を捉えるかのように2重3重と巻き付いていた。それと纏わりつく子供を避けようとした郁は、足を取られバランスを崩してしまう。
倒れる!
そう観念してぎゅっと目を瞑った郁にやってきた衝撃は、地面のそれではなかった。
え?と驚いて顔をあげると、堂上の顔が目の前だ。
「……!!きょ、教官!やだ!大丈夫ですか?!」
倒れ込む郁、更には足下できょとんとしながらその様子を見守る子供数人を堂上は複雑に避けたが残念ながら結果は共倒れとなってしまった。郁は慌てて下敷きにしてしまった堂上を上から覗き込む。
いくら女とは言え、郁の体格ではそれなりの衝撃があっただろう。どこか怪我でもしなかったかと、堂上の顔の両脇に腕を踏ん張りその顔を間近に覗き込む。
「ああっ!やだ、ここ擦りむいてる!血が出てます教官!」
堂上の右の耳朶の下あたりに、範囲は大きくないが土に紛れて血が滲み始めているのを発見する。
「…かさはら」
「はい?!早く、早く洗い流さなくちゃ堂上教官!」
「…そう思うなら早く退け!!」
そう下から怒鳴られ、郁はようやく自分達の状況を把握した。必死になりすぎた郁は、堂上の上に覆い被さり(パンツスーツだったため遠慮なく堂上に跨がっている)、さらに顔を覗き込もうとしたためまさに堂上を押し倒している状態だ。
「ぎゃあ!!やだ!何するんですか教官!!」
「阿呆か貴様!それはこっちのセリフだ!」
真っ赤になりながら慌てて飛び退いた郁の見当違いの非難に、堂上も顔を赤くしながら怒鳴り返す。だ、だって!だって……!!
堂上は涙目の郁に溜め息をつきながらも立ち上がり、自分のスーツについた土を力任せに叩き落とした。
郁はハッと我に返り、近くのベンチに放り投げておいた上着を掴みポケットをごそごそと探る。目当てのものが指先に当たる。良かった、何の気無しに持ち歩いてて!あたし、グッジョブ!
「教官、早く土洗い流してください、あたし絆創膏持ってますから貼ります!」
「ああ」
まだ憮然とした顔で、しかし大人しく数メートル離れた水飲み場へと移動した堂上は蛇口を捻り、頬や顎についた土を洗い流した。
郁はごそごそと絆創膏や綿棒が封入された応急セットの封を切る。
「珍しいな、お前がそんなもの持ってるなんて」
感心した堂上の問い掛けに、気を良くした郁が意気揚々と
「この前、商店街歩いてたら配ってたんですよ、安物ですけど無いよりは…」
告げながら、絆創膏を取り出す手がぴたりと止まった。そんな郁の仕草に堂上が訝しげな声をかける。
「笠原?どうした?」
「…いえ、無いよりはマシです!堂上教官、横向いて!」
「あ、ああ?」
隊規定の白いハンカチで濡れた顔を拭った堂上が、急に勢いづいた郁に気圧されながらも頬を差し出すように横を向く。手早く絆創膏の外装を向く郁の気配がした。
「貼ります、よ」
幾分緊張した郁の声が、堂上の右耳近くを掠める。意図的なのか、無意識なのか、顔が近い。殆ど変わらない背のせいでまともにくらい、堂上は馬鹿め、緊張は人に移るんだよ!と、郁に対して見当違いな文句を胸の中で呟く。たかが絆創膏を貼るくらいで緊張すんな。
郁の両手が右頬、耳のあたりに触れる。妙に熱く感じるのは29℃まであがると予想されていた気温のせいか。
傷に触らないように、軽く押さえた程度の郁の手が離れるのを少し残念に思いながら、堂上は自分の手でしっかりとそれを貼付ける。
「ありがとな。助かった」
「…い、いえ、お役に立てて良かった、です」
そう言いながら不自然に目を逸らす郁が気にかかりはしたが、まあこいつが不自然なのは今に始まった事じゃあないと流す。
「郁ねえちゃん!これー!」
突然の子供の声に、二人がびくりと身体を震わせた。
そうだ、ホース片付けてる最中だった、と郁と堂上は声のしたほうを振り向く。
すると自慢げにこちらを向く子供数人。その中心には、でこぼこにホースが巻き取られたリールが鎮座していた。どうやら数人がかりで頑張ったらしいそれは、要領を得ないため、ホースが一ヶ所ばかりに偏ってはところどころ飛び出して不格好に巻かれてしまっている。ああ、あれは多分、ぎちぎちでハンドルが動かないかもしれない。
だが、一仕事終えた達成感に満面の笑みを浮かべている子供達の前でそれを直すわけにもいかない。
「……後で直せばいい。それよりとっとと昼メシ行け」
その戸惑いを読んだ堂上の言葉に、はい、と返し郁は子供達に礼を言うために駆け出す。
じゃあまた今度遊ぼうね、と子供達の頭を撫でている郁を眺め、ああいうのは才能だな、と堂上は素直に感心する。自分ではあそこまで子供の笑顔を引き出せない。
と、思わず頬を緩めていた堂上は、郁を囲んだ子供達が自分を見ているのに気付いた。それは例えるならば好奇の眼差しとでも言おうか。郁は慌てたふうに子供の気を逸らすように手を取ったり頭を撫でたりしている。
一体なんだ、と歩み寄ろうとした堂上に気付いた郁が、大急ぎでホースリールを持ち上げ近づいて来る。
「さ!堂上教官もう仕事に戻らなくちゃ!あたしもちゃっちゃとお昼食べてきます!」
「あ、ああ?」
その勢いに、水飲み場脇にホースリールを投げるように雑に置いた郁へ小言も言えず堂上は背を押されるように業務へ戻った。

館内で堂上と別れた郁は、急いで子供達の元へ戻る。
「いい?あのおにーさんにこれの事言っちゃだめよ!はい、あげる」
口止め料とばかりに渡したのは、先ほど使ったばかりの応急セット。それには今子供達に人気の、クマを可愛らしくデフォルメしたキャラクターが色とりどりにプリントされた絆創膏が入っている。無料サンプルでただでさえ枚数が無い上すでに一枚使ってしまったために、子供達全員には渡らないがとりあえずの口止めにはなるだろう。


無いよりはマシ。
偶然持っていた絆創膏があんなキャラクター物だったのはたまたまで。
自分が怪我させてしまった堂上の傷を放っておけなかったのももちろん本当だ。
そして、この絆創膏をぺたりと貼付けた堂上を見てみたかった、というのも本当。
それに気付いた時の堂上の怒りを想像すると首が竦むが、それを補って余りある誘惑だったのだ。


きっと、今ごろこの愛らしい絆創膏を貼付けた気難しい顔が、もう一人の上官の上戸を入れまくっている事だろう。このあと凄い剣幕で自分を追いかけてくるかもしれない上官を想像して、郁は複雑な笑みを浮かべた。





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