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漫画・小説・その他色々日常とともに(BL含)
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こちらはBLを扱った同人二次的ブログです。

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今回は、サイトにアップしていた図書館戦争のテキストをアップです。
カテゴリ別けをどうするかーと悩んでいましたが…ちゃんと作っておきます。時間が経ったら「その他二次」に入れるかもしれないけど…うーん、まとまった数があるので。
追々計5本アップ予定。その後イラストも今も耐えられるものがあれば(笑)

文章書くのは好きなんですがまあ下手の横好きというやつなので!へーと言う感じで読んでください(どういう)



以下畳んでおきます。ノーマル、堂郁ですよー。つきあい始めてしばらく経った頃。




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「文句も言えない」



哨戒を一緒にこなしていた手塚と図書館併設の食堂へ少し遅い昼食をとりに行くと、そこに上官二人の姿を見つけた。いい事ひとつ、と郁は胸の内で呟く。


堂上と世間一般的に「恋人」と呼ばれる関係になってそろそろ7ヶ月。ふわふわする心が落ち着くには充分な期間だと思うが、わあ、恋人だって!!と、いまだに郁は寮の部屋で思い出したようにじたばたとのたうち回り、同室の柴崎は最初の半月こそ「そこの乙女、静かになさい」といちいちかまってくれたが、半年も経った今ではさすがにそれもない。視線をくれる事もなくなってしまった。実に付き合いが悪い。
上官達も部下の姿に気付き、小牧が「お疲れさま」、と声をかけてくれる。堂上が郁に顔を向けたまま右隣の空いた椅子を少し引く。なんの躊躇いもないその仕草に思わず頬が緩む。いい事ポイントは日に日に溜まり、もう何枚新しいカードを作ったか知れない。
「なんだ、ニヤニヤして」
やはり躊躇いなくストンと隣に座る郁に堂上が訝しむ顔を向ける。
「いーえー、どんな景品と交換出来るかなあと思って」
「はあ?」
意味がわからない、という顔。わかられたらあたしのささやかな楽しみが減ります、教官。
上官達は既に定食を平らげていた。ということは残された昼休憩は少ないということだ。残念。
郁も、つやつやとした魅惑的な照りを放つ鰤に箸をいれる。図書館の食堂は、何故か魚ものが特に美味い。


元気よくさくさくと箸を動かす郁の姿は見ていて気持ちがいい。
食べ終わり、後は茶を飲むだけになった堂上はその姿を無意識に眺める。
自分の昼休憩はもう残り少ないが、その時間を思いがけずこの可愛い恋人と過ごせる事になりラッキーだ。
ふと、その箸の動きが鈍くなる。奇麗に魚の身をほぐしていたそれが口に運ばれる事なくうろうろと鰤と良く煮詰められたタレをかき混ぜている。
なんだ行儀が悪い、と嗜めるつもりで郁の顔を見ると、その顔が赤く染まり、米が半分ほどに減ったプラスチックの茶碗を持ち落ち着きないように目を泳がせている。
「…どうした?具合でも悪いのか?」
「えっ、いや、や、別に……」
別にと言うには受け答えもおかしい。視線を泳がせながらもごもごと小さく米を口に運ぶ郁を本気で心配し始めた堂上は、その口元に取り残された米粒に気付いた。
「おまえ、こどもじゃないんだから」
す、とその可愛らしい口元に腕をのばす。いきなり近づいて来た堂上の手にぴく、と小さく動いた郁には構わず米粒を取ってやる。
「ほれ」
と、それがついた人差し指を郁の口元に押し付ける。郁はほとんど反射で堂上の指先を咥えた。
途端に、堂上の隣の小牧が盛大に噴き出した。
「なんだ小牧?!」
あまりにも唐突なそれに、堂上がギョッとしたように隣の友人を振り向く。
どうやらずっと堪えていたようなその素振りに、今、友人の上戸を入れるような何かがあっただろうかと考えるが堂上にはさっぱり解らない。
「………っ、ど、堂上……おまえ終わってる、なあ!」
ひいひいと目に涙まで溜めて切れ切れにそう言う小牧に堂上は隠さずに不機嫌な顔をして見せる。
「何がだ」
終わってるとか言われる筋合いはまったくもって無い。そう呟く堂上に、小牧の上戸はおさまる事が無い。見ると、小牧の向こうに座った手塚も何やら複雑そうな表情でこちらを見ている。
いったいなんだ。
「か、かはさらさ……っ、怖いよ、もう、頭で目玉焼き出来ちゃうんじゃない?」
みぞおちの辺りを押さえながらの小牧の言葉に郁に視線を戻すと、なるほど、赤くなるのはしょっちゅうで見慣れたと思っていたが、これは過去最高だというほどに真っ赤だ。湯気の幻が見える。
「堂上、笠原さんがごはん食べてるところ見過ぎなんだよ…っ
いくらなんでも、食べてる時に恋人にあれだけ熱烈な視線送られたら居心地悪くてしょうがないよねえ笠原さん?」
「………な!」
ね、ねつれつ?!
「しかも、ご飯粒取って、自分で食べるかと思いきや指咥えさせるし…!!」
「くわ…!」
なんだその表現は、と思ったが、まさにその通りだった自分の行為を思い返し堂上の動きが止まる。
ひっひっと引きつけを起こしたかのような小牧の先に見える手塚と目が合う。……逸らされた。
恐る恐る郁を振り返ると、過去最高と思っていた赤みが更にその範囲を広げ、もう何も言えません、というふうに俯いている。


そんなに見ていたか。


終わってると言われるほど見ていたのか。


隣で小さくなっている恋人にそう確認する勇気はすでになかったが、一方で郁が鰤を口に運ぶ様をまるで動画再生させるかのように思い出せる自分に、既に答えは出ていた。
右の人差し指の先が急に熱くなる。
言われれば言われる程自分の行動が度を越していたと思い知り、堂上は頭を抱えそうになる。ど、どうしたんだ今日の俺は……!
そんな堂上の様子に、小牧は収まりかけてた上戸を見事に復活させる。手塚はすでに心頭滅却すればの精神でただひたすらに箸を動かしている。
時間帯がずれたおかげで周囲に人がまばらなのがせめてもの救いか。
明らかに耳が赤い。思わず塞ぐ。


さすがに誰にも文句も小言も言えない状況で押し黙った堂上は、「ポ、ポイントが……」と謎の言葉を呟く恋人の声を聞いた。




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